国会審議の論点整理【衆議院】
    その三 外交、安全、沖縄、憲法

    ■外交・国際関係

    ◆慰安婦問題

    【1/6 岡田克也(民主・維新・無所属クラブ)】

    岡田:昨年末、韓国と慰安婦問題について合意に至ったことを率直に評価する。しかし安倍総理自身は「お詫びと反省」を一度も語っていない。総理自身の言葉がほしい。

    安倍:私の立場は、昨年末の日韓外相会談の後の共同記者発表で岸田外務大臣から明確に表明したとおりだ。その後の日韓首脳電話会談で私からパククネ大統領に直接この立場を伝え、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的にされることを確認した。歴代の内閣が表明してきたとおり反省とお詫びの気持ちを表明してきた。私たちの子や孫に謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない。今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものだ。

    【1/12 緒方林太郎(民主・維新・無所属クラブ) 】

    緒方:慰安婦像の移転は、最終的かつ不可逆的解決の条件とはされていない。日本政府は慰安婦増の移転がなくても10億円拠出するか。

    岸田:これまでと異なる点は、日韓両政府が初めて最終的かつ不可逆的解決あることを確認、それを世界に対して表明したこと。日本政府は元慰安婦支援を目的として設立した財団に10億円を拠出する。日本大使館前の慰安婦像の問題に対しては韓国側が適切に対処する。

    緒方:韓国側は「努力」するだけだ。慰安婦像撤去のための努力は今後も継続されることはありうるか。

    岸田:合意内容はそれらの文章のとおりで、それ以上でもそれ以下でもない。両国はそれぞれが合意内容を着実に誠実に実施することが重要だ。

    安倍:長年解決しなかった問題を我々が解決した。誠実に実行する。

    緒方:外務省からは、我が方は慰安婦像が適切に移転されると認識している、と説明を受けた。しかし予算委員会での安倍総理の答弁は「適切に対処していく」、NHKの番組では「適切に対応すると確信している」という表現であった。「適切に対処」には、移転するも、移転しないことも含まれる。

    安倍:「適切に対処する」ということは当然、移転されることだと考えている。

    >>慰安婦問題で日韓が合意。

    ◆日印(日本とインド)原子力協力協定

    【1/6 岡田克也(民主・維新・無所属クラブ)】

    岡田:安倍総理は12月にインドを訪問し、日印原子力協力協定について合意に達したと発表した。しかしその内容は全く明らかになっていない。インドが核実験を行った場合、日本が協力を停止すること、核実験が行われたときに稼働中または建設中の原子力発電所への協力を停止することを協定に明記しているか。ここまで踏み込まないとインドに核実験を断念させる実効性が確保できない。日本の非核政策にとって極めて重要。

    安倍:米仏がインドと締結した協定以上の内容をめざして交渉した。仮にインドが核実験を行った場合には日本側の協力を停止する。稼働中または建設中の原子力発電所にかかわる協力の扱いについても我が国の立場を踏まえ交渉している。協定の具体的文言は調整中。この協定はインドを国際的な核不拡散体制に実質的に参加させることにつながる。不拡散を推進する日本の立場に合致する。

    >>NPTに加盟しないインドとの締結は、原子力を核兵器に転用する懸念が指摘されるが、安倍晋三首相は原発輸出による経済成長を優先させた。

    ◆温室効果ガスの削減目標

    【1/6 岡田克也(民主・維新・無所属クラブ)】

    岡田:政府は温室効果ガスの削減目標を2030年に2013年比26%削減としているが、1990年比でいえば18%削減にすぎない。このペースでは2050年に8割削減という国際約束は到底実現できない。40年かけて18%しか削減できないものが、その後の20年で80%削減に至るのか。8割削減への具体的道筋を示せ。固定価格買取制度、地球温暖化対策税をよりよく活用してやる意思があるか。

    安倍:昨年決定した我が国の2030年度の削減目標(注意)は欧米からも高い評価を得ている。まずこれを達成し、2050年度の削減目標(注意)を達成することは十分可能だ。固定価格買い取り制度は、国民負担を抑制する観点から制度を見直しつつ、再生可能エネルギーの導入を最大限すすめるため、着実に運用する。地球温暖化対策税は着実に実施し、その税収により省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を進める。

    ◆北朝鮮

    【1/12 笠井亮(日本共産党)】

    笠井:北朝鮮は、2005年6か国協議で核兵器の放棄に合意、しかし、2006年核実験、2009年核実験とロケット実験2回、2013年ロケット実験1回、そして今回の水爆実験。北朝鮮に核兵器放棄させる実効ある措置が必要だ。

    岸田:安保理緊急会合を招集し新たな措置をするという声明を出した。日米韓の首脳電話会談、外相電話会談を行い、連携を確認した。

    笠井:北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため、中国を含めた国際的制裁措置が必要。昨年11月、日中韓首脳会談で、北朝鮮の核問題についてどんな一致をみたか。

    安倍:連携しながら抑制するという話をした。

    笠井:共同宣言には「意義のある6者会合の早期再開」で合意したと書かれている。

    岸田:6か国協議の建設的議論に北朝鮮が参加するよう環境整備が必要だ。日米間会合を実施する予定。

    笠井:対話による解決。米国も外交的解決を主張している。軍事対軍事になるのが最も危険で、相手に軍事的増強の口実を与える。安保法は廃止すべきだ。

    ■防衛・安全保障

    ◆戦争とテロ

    【1/12 笠井亮(日本共産党)】

    笠井:アメリカ主導の有志連合は、過激派組織ISに対する空爆等の軍事作戦を強化しようとしている。安倍総理は昨年9月、有志連合の空爆について、IS弱体化・壊滅につながることを「期待する」という立場を明らかにした。

    安倍:ISは国際社会の脅威であり、難民発生の原因になっている。我々は空爆を行っている有志連合に支持を表明している。

    笠井:空爆強化がISの弱体化・壊滅につながると認識しているか。

    安倍:空爆のみで解決する問題ではない。イラク、シリアでは、空爆によってIS支配地域が縮小している。空爆支援ではなく、空爆を行っている有志連合を支持している。

    笠井:オバマ大統領は昨年8月の演説で、「我々はイラク戦争から10年たった今もイラク侵攻の結果とともにいる、アルカイダはISへ進化した」と認めている。総理も同じ認識か。

    安倍:ISの誕生には様々な議論がある。国際社会は、中庸が最善との考えのもと穏健なイスラム諸国を支えていかなければならない。

    笠井:イギリスのブレア元首相は、イラク戦争がISを生み出す第一要因になったと認めている。世界のテロによる死者は、イラク戦争の前の2000年には3361名だった。2014年には32727人と10倍に増した。イラク戦争によってテロが世界に拡散した。その事実を認めるか。

    岸田:IS登場経緯は様々な背景、要素、議論がある。過激暴力主義の背景には貧困、格差の問題もある。中東等不安定地域に日本が貢献することが重要だ。

    笠井:戦争がテロの悪循環をもたらしてきたのに、さらに空爆が強化されている。オバマ大統領は昨年11月、有志連合はイラクで5800回、シリアで3000回超の空爆を実施したことを明らかにした。英国の国際人権団体によれば、空爆が開始された2014年以降4000人以上の民間人が巻き添えで死亡。空爆は憎しみの連鎖を生んで泥沼化させるだけだ。テロ根絶のために必要なことは、
    1)国連安保理決議に基づく、テロ組織への資金供給の遮断。
    2)温床となっている貧困、政治的宗教的差別の克服。
    3)シリア、イラクの内戦の政治的外交的解決を図る。
    4)シリアの難民支援
    の4点で、国際社会で一致団結した行動が必要だ。日本がイニシアチブを発揮すべきだ。

    【1/12 笠井亮(日本共産党)】

    笠井:対IS有志連合の参加国は欧米中東など60か国以上で日本も含まれている。昨年12.9カーター国務長官は上院軍事委員会で、有志連合による軍事作戦に関し、約40か国に協力要請し、航空機派遣、武器、弾薬の提供を要求した、と説明した。12.10の記者会見で、中谷大臣は、日本への協力要請があったかという問いに対し、「答えを差し控える」と答えた。なぜ差し控えたか。

    中谷:日米は随時意見交換を行っている。具体的やりとりは相手国の立場があるので答えを差し控えた。日本は対IS軍事作戦や後方支援に参加する考えはないと米側に伝えている。非軍事分野で可能な限りの貢献を行っていく。

    笠井:米国からの要請の有無は重要だ。要請はあったのか。

    中谷:答えを差し控える。

    笠井:要請を断ったのか、参議院選挙前は回答できないということか、要請を隠しているのか、要請はなかったのか・・・。

    中谷:我が国は対IS軍事作戦・後方支援に参加する考えはない、という立場を米側に説明している。具体的なやりとりは相手側のこともあるので差し控える。

    笠井:相手側より日本側が大事だ。政府がどうするかを日本国民と国会に知らせるべきだ。

    中谷:米側とは常に情報交換や情報共有、分析を行っている。具体的なやりとりについては答えを差し控える。

    笠井:オバマ大統領は昨年12月声明を発表し、各国に対して一層軍事的貢献を求めた。昨年成立した安保法制により法律上は有志連合への軍事支援が可能になった。支援要請の有無は重要だ。

    中谷:我が国は軍事作戦・後方支援に参加する考えがないので、(安保法上の)要件を判断していないし、判断する必要もない。

    笠井:昨年6.4参議院の会議録で「IS空爆の後方支援がありうるか」の質問に対し「要件を満たせば法的には適用がありうる」と答弁した。

    中谷:国連決議が要件となる。法的要件を満たし国会承認が得られればということだ。「政策判断として」ISに対する軍事作戦・後方支援に参加する考えはないので、平和安全法制の要件を満たしているかどうかの判断はしておらず、その判断をする必要もない。

    笠井:法的には軍事支援ができる。政策判断ではやらないと言う。しかし米国から政策判断を変えてくれと言われたらどうするのか。政策判断前に米国から要請があったのか、それとも要請がない中での政策判断なのか、それが言えないのはとんでもない。

    ◆自衛隊の海外拠点ジブチ

    【1/12 笠井亮(日本共産党)】

    笠井:ジブチは海賊対策のために設けられたアフリカ東部にある自衛隊の唯一の海外拠点(基地)。この地域の海賊事案件数は。

    中谷:2011年237件、2014年11件と激減、2015年はゼロ。不審船事案は多発2013年145件、2014年94件、2015年38件。

    笠井:海賊対処目的で拠点がおかれ、海賊事案はゼロになったのになぜ拠点を維持するのか。世界中に不審な船はいっぱいある。そのたびに自衛隊拠点を作るのか。

    中谷:警戒監視活動が海賊発生の抑止になる。海賊対処は韓国、英国、オーストラリア等世界各国で担当を割り振っている。民間船舶の警備も行っている。海賊の疑いのある不審船事案はまだ多く、その原因となるソマリアの貧困も解決していない。

    笠井:ジブチの西には自衛隊PKO活動中の南スーダン、北には空爆作戦をやっているシリア、イラクがある。

    中谷:中東アフリカ地域における自衛隊の迅速かつ効率的活用のためにジブチ拠点の有用性は非常に高まっている。諸外国の海外拠点活用事例調査のため、委託研究(中東アフリカ地域における米英仏独伊西の拠点の用途、規模等について情報収集)をH27.9.3に委託契約し本年3月に報告が出る。た。防衛省はこれを参考にジブチ拠点の具体的活用方法について検討する。

    笠井:委託契約した9.3は国会で安保法制審議中、まさに国民の知らないところで、法律の施行を見越して着手している。ジブチ拠点を安保法制によって可能になった対テロ戦争等のためにも活用するか。

    中谷:対テロ活動に使うかどうかは今のところ考えていない。

    笠井:中谷大臣は昨年1月ジブチを視察し、その際、「各国はテロ対策に懸命に取り組んでいる。日本も積極的に関われるように検討する必要がある。」と現地で言った。今、安保法成立し、調査をやって活用の検討をする、その中で、対テロ戦争等にも使うということになるのか。

    中谷:テロは我が国の安全保障、邦人の安全に関係があるので、国家としてテロにしっかり対応する、情報収集、分析を行う必要もある、ということを視察の際に述べた。

    笠井:ジブチ拠点を対テロ戦争にも活用するという考えか。

    中谷:テロには国際社会と協調して対応していく必要がある。テロを恐れて諸外国と協力しない、関わらないとなれば、国際社会の足並みを乱すのみならず、日本はテロに屈しやすい国だというイメージを与えて、かえって我が国に対するテロを助長することになりかねない。国外に1800万人の日本人が出かけていく時代。日本人がテロに巻き込まれるリスクを回避するために、国際社会で日本も法律の範囲内で対応していく必要がある。

    笠井:安保法の範囲内でテロに対応するということは、テロ戦争に対しても自衛隊を活用するということになる。テロに対して国際社会が一致協力すべきは軍事ではない。 河野統幕長は2014.12訪米、米軍幹部と会談で自衛隊のジブチ拠点について「今後は米太平洋軍、米中央軍、米アフリカ軍との連携を強化していきたい」と述べ、特に米アフリカ軍との連携強化を米側に盛んにアピールしている。今回の調査は米軍との連携強化をめざしたものではないか。

    中谷: H25末策定の25防衛大綱に「国際平和協力活動を効果的に実施する観点から、海賊対処のためにジブチ活動拠点を一層活用するための方策を検討する」と明記されている。ジブチの地政学的重要性をふまえつつ25防衛大綱に基づいて自衛隊の活動を効果的に実施する観点から検討している。

    笠井:米軍は全世界を地域ごとに6つの統合軍に分けて編成している。そのうち河野統幕長が上げた米太平洋軍はアジア・太平洋・インド洋、米中央軍は中東・中央アジア、米アフリカ軍はアフリカ全域を担当し、3つを合わせると全世界の半分の地域に及ぶ。自衛隊が地球の半分を占める米統合軍を軍事支援できるようになった、その立場から自衛隊ジブチ拠点の拡充強化をする、そういうことで今回の調査をやっているのではないか。

    中谷:諸外国の拠点活用調査を実施し3月に報告を得て、それから検討する。

    ◆自衛隊の対アフリカ戦略

    【1/12 笠井亮(日本共産党)】

    笠井:25年度統合幕僚学校委託研究「主要国の対アフリカ戦略に基づく投資・支援に関する調査研究」180ページによると、自衛隊が果たすべき役割として、アフリカの要所に、自衛隊等が利用する国際後方支援拠点を設置し、各種活動の利便性を図る必要がある。そのための候補地としてはジブチの活用が最適とまで明記されている。具体的機能として、港湾施設の設置、輸送機発着のための滑走路の新設、弾薬・物資・救難物資の備蓄、部隊の展開、訓練・給油等のための施設設置等が必要、とこと細かに列挙され、自衛隊の役割強化が求められている。間違いないか。

    >>平成25年度統合幕僚学校委託研究

    中谷:資料を読んでいない。ジブチ活動拠点はすでに利用されており、中東・アフリカ地域におけるジブチ拠点の有用性重要性は非常に高まっている。それを踏まえてH25.12 防衛大綱が作成され、ジブチ利用方策を検討するとされ、その理由によって今調査研究がされている。

    笠井:質問通告しているのに資料を読んでいない、防衛庁も準備をしていないというのでは先に進めない。

    中谷:事前に文書の名称、項目を教えてほしい。

    委員長:理事会で協議。01.03.53

    笠井:その文書には、中期的には我が国の中東・アフリカ戦略拠点としての整備を視野に入れ、長期的にはジブチの拠点としての本格的な機能拡充、大規模な自衛隊部隊の展開、アフリカ国際安全保障司令部を設置して、日米が対等に共同作戦を遂行しうる段階をめざす、と書かれている。この調査研究は防衛省に対して、自衛隊ジブチ拠点を米アフリカ軍支援のための国際後方支援拠点にする構想計画を提案している。大臣はこの資料、構想があることを知らないで安保法制議論をやってきたのか。

    中谷:その資料については今初めて聞いた。どう活用するかは3月に外部委託調査結果が出た後で検討する。その資料は部内での一つの考え方だが、今後様々な活動を通じて有意義に活用していきたい。

    笠井:防衛大臣がこの資料の存在を知らずにこれまで答弁してきたのは驚きだ。中長期に及ぶ恒常的な一大海外軍事拠点の構想を行う、とまで書かれている。自衛隊の今後の運営について研究することが任務となっている学校が発注してやった委託研究。恒常的な一大海外軍事拠点を作る、長期的には日米が対等に共同作戦を遂行しうる段階をめざすと言っている。総理は「日米が対等に共同作戦を遂行しうる段階」を日本の自衛隊がやるべきと考えるか。

    安倍:ジブチの海賊対策の意義はある。積極的平和主義のもと国際平和協力活動を積極的に実施していく方針であり、本邦から遠く離れた地域での活動を効果的に実施する観点から、自衛隊ジブチ拠点を一層活用するための方策を検討している。ISに対する空爆、軍事作戦に参加または後方支援の実施は「政策的に」実施しないとしている。実施しないのだから、これを安保法に則って行うかどうかは検討する必要もない。

    笠井:政策的にはやらないが、法律的にはできる仕組みを作った。憲法9条を持つ日本が、ジブチを拠点に、他国領土に空爆支援するようなことは絶対あってはいけないし、そんなことをすれば民間人を犠牲にし、海外在住を含む日本国民の命と安全が脅かされるリスクも高まる、市民をテロの標的にした?を絶対に許しちゃいけない。ジブチの自衛隊の拠点づくりはやめるべきだ。安保法制によって自衛隊が海外で戦後初めて外国人を殺し自衛隊員が殺される現実味が増してきている。絶対に誰の子供も殺させてはならない。憲法違反の戦争法は法律上も、また現在の自衛隊の海外軍事態勢づくりを止めるうえでも、断固廃止して、昨年7.1の閣議決定は撤回すべきだ。

    ◆日米間軍事協力メカニズム

    【1/6 穀田恵二(日本共産党)】

    穀田:政府は11月に新たな日米間同盟調整メカニズムと共同計画策定メカニズムの設置に合意し、これらの仕組みを通じて平時から緊急事態まで切れ目なく地球規模で軍事協力を推し進める、そのための行動計画を策定更新するとしている。これは米国が世界の紛争に軍事介入した時にいつでもどこでもどんな戦争でも日本が参戦するための体制作りだ。戦後初めて5兆円を超す軍事費の増大は財政面から戦争法をささえるものだ。これをどう説明するか。

    安部:我が国の平和と安全のためには強固な日米同盟のもと自衛隊と米軍の緊密な連携が必要であり、日米両政府は同盟の抑止力、対処力を一層強化していく。自衛隊の活動は我が国の主体的に行うものでいつでもどこでも戦争に参加するものではない。H28の防衛関係費は、中期防衛力整備計画等に基づき、自衛隊員の人件費の増加、普天間飛行場移設など米軍再編のための経費が増加分の大半を占めている。平和安全法制の施行を前提とした経費は計上していない。

    ■沖縄米軍基地問題

    ◆普天間・辺野古

    【1/6 穀田恵二(日本共産党)】

    穀田:政府は、辺野古基地建設に対する沖縄県の承認の取り消しそのものを消し去ろうと尾長知事を裁判に訴えるとともに、露骨な地域振興策で住民を分断しようとしている。普天間基地の危険性を野放しにしてきた政府の姿勢を改め移設条件付きをやめ普天間を直ちに撤去すべきだ。

    安部:普天間の返還は、沖縄県内に代替を持つことを前提に米国と同意し」。辺野古への移設は唯一の解決策。

    >>知事の姿勢「予算確保に影響も」 島尻沖縄担当相が示唆 

    【1/12 大西健介(民主・維新・無所属クラブ) 】

    大西:昨年12.15、予算編成作業中、記者会見で島尻大臣は「辺野古の新基地建設が予算確保にまったく影響がないとはいえない」、つまり政府と対立する尾長知事の政治姿勢が沖縄振興予算に影響する可能性を示唆した。地元からは「基地問題と振興予算をリンクさせた恫喝だ」と怒りの声が上がっている。

    島尻:これまで通り、振興予算と基地問題をリンクしない、という前提で沖縄振興をすすめる。

    大西:島尻沖縄担当相の夫が理事長を務めている日本語学校「JSLインターナショナル」は、日本学生支援機構から補助金を受け、島尻氏が支部長を務める自民党支部に300万円を献金した。税金を自分(の党)に還流していることになる。

    島尻:独立行政法人から政治家への寄付は、政治資金規正法には抵触しない。

    >>島尻沖縄担当相に税金還流疑惑 

    【1/12 赤嶺政賢(日本共産党) 】

    <名護市について>

    赤嶺:名護市は、沖縄本島北部にある人口約6万人の町。辺野古大浦湾を埋め立てて普天間にかわる新たな米軍飛行場を建設するという計画がある。名護市には4つの米軍基地が存在する。

    中谷:名護市の4つの米軍基地:
    八重岳通信所:沖縄県内の米軍基地を結ぶマイクロ中継タワー施設。
    キャンプシュワブ:訓練場、機関銃、ヘリコプター、水陸両用車両、爆発物処理。
    辺野古弾薬庫:弾薬貯蔵施設。
    キャンプハンセン:訓練場地区。

    赤嶺:4区域の総面積は22.8q2(2300ヘクタール)、市の面積に占める割合は10.8%。 米軍基地の面積で言えば、青森県(三沢)は2400ヘクタール、神奈川県(原子力空母横須賀、厚木)1700ヘクタール、東京都(横田)1600ヘクタール。名護市の基地面積は青森県の基地面積に匹敵する。キャンプシュワブ、キャンプハンセンには中部訓練場が広がり、実弾射撃訓練場、米軍ヘリ、オスプレイが離着陸訓練を行う着陸帯があり、昼夜を問わず軍事訓練。辺野古弾薬庫には戦後核兵器も貯蔵されていた。本土復帰の際に撤去したが、有事の際の核兵器に関する密約が結ばれていた。名護市では戦後、米軍にかかわる事件事故が繰り返し発生してきた。

    <深夜帯の廃弾処理場の爆発音>

    中谷:損害賠償が行われた沖縄県名護市内における米軍事件事故は、H22に6件、H23に1件、H24に2件、 H25に2件、 H26に4件、 H27に5件。計20件。内訳は、交通事故:17件 傷害・住居侵入2件 物損被害:1件。

    赤嶺:損害賠償請求までできなかった多数の事件があった。「名護市の米軍基地」の冊子には、戦後、市内で発生した事件一覧が掲載され、1961-2.15.2015.1まで合計254件の事件事故。米兵がバーの女性従業員を殺害、強盗、酒酔い住居侵入、ひき逃げ、セスナ機墜落、演習による騒音・山火事・弾丸着弾。

    地元で特に問題になっているのは、キャンプシュワブの廃弾処理場の爆発音。2/10には深夜帯の午前3〜5時にかけて23回の爆発音。「地響きを伴ったものすごい重低音で処理場がある東海岸とは反対側の名護市街まで聞こえる、建物が揺れたり窓ガラスが割れた。住民に対する事前通報はなかった」。辺野古、豊原、久志の「久辺3区」では午前3:51に101.3デシベル。豊原と辺野古はいずれも5時ちょうどに101.5デシベル、100.6デシベルを記録(100デシベルは電車が通るときのガード下に相当し、聴覚機能に異常をきたすほどの騒音)。

    中谷:防衛省は、排弾処理の騒音、振動が住民生活に影響を与えていることを認識している。廃弾処理場の実施に際し米軍から事前通知を受けている。状況に応じて政府から見舞金を支給している。生活への影響は把握の都度米軍に連絡し、米軍側からは影響が最小限になるよう努力すると聞いている。

    赤嶺:2/10の午前3-5時になぜ23回も排弾処理をするのか。これは単なる排弾処理ではなく深夜帯の軍事訓練ではないのか。事前通知したか。被害補償したか。

    安倍:個別事案には答えられない。地元の生活に配慮しつつ米軍の抑止力との関係を考慮して適切に対処する。

    赤嶺:名護市はキャンプシュワブの廃弾処理場の廃止撤去を求めている。真夜中に爆破訓練を行う施設は撤去してほしい。

    中谷:岸本市長からの要望、移転等について、防衛省で具体案を検討中。

    赤嶺:要望は11年前の移転合意時にあり、11年間も検討を続けている。国、県、名護市が1991年に合意した辺野古の基地建設には、使用期限15年、廃弾処理場対策という条件があった。また、当時の辺野古案は沖合2.2kmに文民共用空港をつくるという案であったが、2005年には米軍専用高級基地を作る案に、滑走路も2本に、と一方的に計画変更された。

    <オスプレイ訓練による騒音被害>

    赤嶺:(パネル)現在の名護市内のオスプレイの飛行状況。青が政府飛行場建設予定地。黒丸が着陸帯(ヘリパッド)。その周辺をぐるぐる旋回しながら離着陸訓練。市内の辺野古、豊原、久志(久辺三区)、許田、幸喜の5つの集落の上空をオスプレイが縦横無尽に飛び回っている(赤線)。普天間基地のオスプレイが辺野古に移ると、今実施されているこれらの訓練はどうなるか。

    中谷:普天間からの移転後は、海上における離発着場建設により住宅地の騒音被害は出ない。オスプレイ飛行に伴う騒音問題を認識しているが、法令上の防音基準は超えていない。周辺の学校、幼稚園等には防音工事の助成を行っている。

    赤嶺:防音防止基準は飛行場周辺に適用されるもの。住宅地に基準か適用されないのは当然だが、学校には防音工事している、ということは基準を超えているということだ。基地ができたら着陸帯(ぐるぐる回る訓練)がなくなり騒音がなくなるのか。

    安倍:政策判断で学校、幼稚園への防音工事に助成している。訓練は沖縄県外でも行う。住民への影響は米軍にしっかり伝える。

    赤嶺:飛行場がない現在でも辺野古でこれだけ(世界一多く)オスプレイ訓練が行われている。ここはオスプレイの訓練場だから、新基地が完成したら訓練がなくなるどころか、ひどくなるのは当然ではないか。

    赤嶺:「沖縄で新基地を作るか、さもなければ普天間は固定化だ」というのは、沖縄県民に対して選びようのない選択肢をつきつけている。

    <普天間の飛行訓練常習経路>

    (パネル)灰色が普天間飛行場。青と赤のラインが米軍のヘリ・オスプレイの飛行訓練常習経路。

    赤嶺:当初、飛行訓練は東側、基地に沿った経路だけで住宅地のある基地外にははみ出さないという説明であった。しかしH8普天間飛行場移転に関する合意の三か月後に、普天間基地の副司令官が宜野湾市にやってきて住宅地域を含む西側の利用を要望した。市長は、危険な飛行経路だと反発し、海の経路を提案した。しかし米側が押し切って危険性を拡大した。政府はこのときどうしたか。

    中谷:ヘリコプターの飛行は気象に影響受ける、バードストライク回避、など安全目的で飛行経路を変更する必要があったのではないか。

    赤嶺:辺野古に移転しても風向き次第で住宅地を飛ぶということが書かれている。住民の安全を考えて断るのが当然ではないか。

    <早朝夜間の飛行訓練>

    赤嶺:宜野湾市民が直面している最大の苦しみは、早朝夜間の訓練、耐えられない苦しみ。早朝夜間は飛ばないという協定を日米で結んでいるが、守られていない。なぜか。

    中谷:米側に事前協議を順守するよう、違反の場合は米側に申し入れをして改善を促している。

    赤嶺:「沖縄で新基地を作るか、さもなければ普天間は固定化だ」というのは、沖縄県民に対して選びようのない選択肢をつきつけている。「辺野古移転はできない」「普天間の危険を除去しなければならない」この二つの条件を満たす解決策は、沖縄県民が総理に提出した建白書にある。普天間基地の閉鎖撤去、辺野古移設断念。危険を生み出しているのは、県民の暮らしや安全よりも米軍の運用を優先する日本政府の態度だ。条件なし撤去以外にはない。

    ◆ディズニーリゾート

    赤嶺:12/8宜野湾市の佐喜真市長が菅官房長官をおとずれ、宜野湾市内へのディズニーリゾートの誘致を求め、官房長官は実現したいと応じた。何を誘致する計画か。

    島尻:宜野湾市長から官房長官に対してディズニーリゾート誘致提案がなされた。12.2、この件で私と佐喜真市長がオリエンタルランド社を訪問したが、具体的な内容は言及できない。

    赤嶺:なぜ国会に報告できないか。どこに誘致するか。

    島尻:オリエンタルランド社の方で調査中であり、コメントできない。

    >>「沖縄・宜野湾にディズニー誘致を」政府が協力を約束

    <沖縄の民意>

    大西:沖縄では知事選挙、衆議院選挙、全4区で自民党は負けている。菅官房長官は新基地反対運動を「騒音」と呼び、団体に過ぎない周辺3地区法律に、法律に基づかず名護市を介さず、直接交付金を支出すると決めた。公金による地域ぐるみの買収、地域の分断工作だ。札束で頬を叩くようなやり方を続ければ沖縄の人々の理解は得られない。総理は沖縄の民意をどう考えるか。

    安倍:安全保障等に関わることは国全体で決めること。一地域の選挙で決定するものではない。

    >>防衛省、久辺3区に補助金3900万円 法律なく名護市の頭越し
    >>辺野古への直接振興費は「反対運動の騒音激しい、住民の生活安定のため」 菅官房長官

    ■東日本大震災

    ◆復興

    【1/6 穀田恵二(日本共産党)】

    穀田:震災から5年目の今でも18万人超の被災者が避難生活を強いられている。災害関連死は3338人に達している。政府は復興計画による大型事業を推し進める一方、被災自治体に自立を促すとして被災者に対する支援を早々と地元に押し付けた。被災者の基本的人権がないがしろにされている。被災者生活再建支援金を住宅が再建できる水準として最低500万円に引き上げることが不可欠だ。

    安倍:H28以降の復興事業では一部の事業について自治体に負担をお願いするが、その際自治体の財政状況に十分配慮するので被災自治体は安心していい。被災者生活再建支援金の引き上げは、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担等を勘案して慎重に検討すべきだ。

    【1/13 井出庸生(民主・維新・無所属クラブ)】

    井出:1月1日の読売新聞に「政府は岩手、宮城両県の仮設住宅全約3万戸について、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに解消を図る方針を固めた」という記事が出ているが、これは事実か。

    高木:報道は事実ではない。H27.12.1現在、仮設住宅68000戸ある。公的住宅宅地は予定50000戸のうち20000戸が完成し、H30まで30000戸供給見込み。

    井出:「政府の復興推進会議(議長・安倍首相)は、16年3月11日で震災5年を迎えるのを機に「東日本大震災からの復興の基本方針」を改定し、仮設住宅の解消を目標の一つに掲げる」と書かれているが、事実か。

    安倍:期限を切って恒久住宅への移転の完了期限を示すことは難しい。

    >>岩手・宮城の仮設住宅、20年までに解消へ

    ◆原発再稼働

    【1/6 穀田恵二(日本共産党)】

    穀田:福島原発事故による被害が続いているにもかかわらず避難指示を解除し、東電が損害賠償を打ち切るのは言語道断。東電福島原発事故そのものの原因究明は不十分、増え続ける汚染水の問題は解決のめどがたっていない。原発事故が発生した際の住民の避難対策や生活再建を補償する対策もあいまいなまま、川内原発など既存原発の再稼働はおこなうべきではない。

    安倍:避難指示の解除については、線量低下、インフラ、生活関連サービス、住民との対話を重ねて行っている。損害賠償については、政府は東京電力に対し、損害賠償を迅速公平適切にやるよう指導している。原発再稼働については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発のみ、地元の理解を得ながら再稼働していく。

    【1/13 足立康史(おおさか維新の会)】】

    足立:今月中に高浜原発再稼働になる見込み。地元同意は法定されていない。高浜原発は30q圏に志賀も京都も関係している。地元同意を法定すべきだ。なぜ法定しないか。

    林:地元自治体の同意は法令上、原発再稼働の要件ではない。高浜原発の再稼働にあたり、周辺自治体における住民説明会に関係省庁から担当者がおもむいて丁寧に説明している。

    ■憲法

    ◆憲法53条 臨時国会召集

    【1/8 枝野幸男(民主・維新・無所属クラブ)】

    枝野:10月半ば、国会総議員1/4以上で臨時国会の開催を要求した。憲法53条には国会総議員1/4以上の要求があれば臨時国会の招集を決定しなければならない、と書かれている。我々は10月半ばに要求したが、開催まで2か月を超えるのは合理的、迅速といえない。合理的な期間内に招集すべきではないか。

    安倍:憲法53条では召集時期について規定がない。政府は補正予算編成を行ったうえで本通常国会の召集を図ったもので迅速かつ適切に対応している。

    ◆憲法改正・緊急事態条項

    【1/8 大串博志(民主・維新・無所属クラブ)】

    大串:立憲主義をないがしろにし、国会召集で憲法53条違反をした安倍総理の下で憲法改正の議論をするのは危険だ。緊急事態条項の2,3は人権を制限し総理大臣への権限集中であり、ここまで念頭においていることに強い危惧を覚える。総理は憲法改正の項目として緊急事態条項が必要だと考えているか。

    安倍:改正内容については憲法審査会等、国会で議論を進めてほしい。



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