補正予算案 国会審議の論点整理
    【参議院】その一:経済

    ■経済

    ◆経済状況

    【1/7 井上哲士(日本共産党)】

    井上:アベノミクスの3年間で大企業の経常利益は6割も増え、内部留保は300兆円を超え、2015年3月期決算では上場企業は最高益を更新した。ところが、国民の所得や消費は実質では3年前を下回ったまま、非正規雇用は4割を超え、社会保障の削減は暮らしを直撃し、消費税8%増税により2014年度のGDP(国内総生産)はマイナスになった。ところがマイナス成長なのに企業収益が増益となるという異常な事態だ。

    大企業の増益が内部留保に回るだけで経済に還流しない原因は、労働法制改悪で正社員が非正規に置きかえられるなど、企業の収益が家計に回る回路が断たれてきたからだ。「大企業を応援すれば、やがて国民は潤う」といいながら、貧困と格差拡大をもたらしたアベノミクスを「1億総活躍」などと目先を変えて続けるのではなく、国民の所得を増やし、暮らしを応援することに抜本転換するべきだ。

    8%増税の際、安倍総理は、消費税による消費の落ち込みはワンショット(一時的)と答弁したが、今も深刻な影響を及ぼしている。10%増税に際し、軽減税率により負担が下がるかのような誤解がばらまかれているが、消費税額5兆4000億円のうち1兆円の軽減(据え置き)であり、4兆4000億円もの大増税だ。国民生活に影響が大きく、増税そのものを中止すべきだ。

    国民の多くはアベノミクスの果実とは無縁。厚労省の国民生活基礎調査の相対的貧困率は16.1%で、1985年の調査開始以来最悪となり、高齢者世帯と共に青年や若い母子家庭の貧困問題は深刻。「アベノミクスの果実」を利用して、なぜ高齢者だけに一人3万円の臨時給付金を参院選前に配るのか、選挙対策だ。

    法人税減税で大企業の内部留保が増えても賃上げにはつながらなかった。さらに法人税を2.37%も引き下げ、その財源として外形標準課税を強化することは支離滅裂だ。外形標準課税は、赤字で苦しむ中堅企業にも増税になる。さらに、給与総額などに応じて課税されるため、雇用と賃金が抑制される。賃上げに相反する大企業優遇の法人税減税の中止を求める。

    最低賃金の地域間格差が地方の経済格差と人口流出につながっている。最低賃金の緊急大幅引き上げをはかること、地域間格差を是正し全国一律とすること、賃金助成や税・社会保険料の減免など抜本的な中小企業支援と一体で行うことが必要。

    安倍:(アベノミクスの成果を自画自賛し、一億総活躍社会実現による根拠のない楽観的見通しを述べた。詳細省略。)

    【1/15 石橋通宏(民主党・新緑風会)】

    石橋:ここ20年、非正規が増える傾向にある。その原因は政策変更にある。労働法制・派遣法の改正、企業会計の変更があり、非正規を雇えるようになり、企業が労働コストの切り下げで利益を上げられるようになった。

    安倍:いろいろな働き方のニーズに柔軟に応えるために取り組んできた。安倍内閣になってパート時給が上がり、最低賃金を15〜18円と引き上げるなど労働条件は改善してきた。非正規から正規に転換するための職業訓練にも対応しているし、不本意非正規の比率は下がっている。

    石橋:安倍総理は2013年の所信表明演説で「企業が世界一活躍しやすい国を目指す」と約束した。企業の側に立てば「正社員を解雇しやすく、有期雇用規制も派遣規制も緩和して自由に人を使えるようになればいい、正社員を雇いたくない、もし正社員雇うなら残業代払わなくても働くようにしてほしい、そうすれば労働コスト引き下げで利益が上がる。」と言うだろう。産業競争力会議、規制改革会議の議事録で実際にこのような発言がされている。その結果、派遣法改悪、有期特措法も穴、戦略特区法案、外国人家事支援人材、残業代ゼロ法案、労働基準法改悪、外国人技術実習制度法案、解雇の金銭解決導入議論・・。これは真逆だ。非正規の拡大、雇用の不安定、低賃金化はデフレの原因でもある。今後ますます企業が活躍しやすいよう、労働コストを引き下げて利益をだせるようにしたら、日本の将来はない。

    安倍:働く方々が能力を発揮できる社会の実現が重要。様々な法改正は、労働環境を改善しつつ多様で柔軟な働き方を推進するもの。働く場を確保、多様なニーズに応えるようにしていきたい。

    石橋:圧倒的多数の派遣労働者は反対している。労働者は今、本当に深刻な状況に置かれている。

    塩崎:参議院の派遣法には50項目弱の付帯決議がついた。

    >>【参院厚労委】労働者派遣法改正案などに反対 付帯決議50項目付す

    【1/18 小池晃(日本共産党)】 http://www.a-koike.gr.jp/?p=2995

    小池:確かに企業は史上最高の収益を上げ、株高で巨万の富を手にした投資家もいるだろう。しかし国民には景気回復の実感はほとんどない(企業収益が国民に配分されていない)と思う。今の最大の課題は所得の再分配だという認識か。

    安倍:企業が収益を上げ、賃金を上げ、税金を払い、国がそれを活用する、という再配分機能が大切であり、今後とも、成長と分配の好循環を回していきたい。

    小池:消費税は、低所得者や生活困窮者にもかかってくるから、所得再配分に最も逆行する税制だ。二年前の8%増税は暮らしや経済に深刻な打撃を与えた。2014年度は年間通じてマイナス成長、15年度も一期マイナス成長、景気回復には程遠い。

    安倍:消費税8%への引上げは、確かに消費に大きな影響を与えた。だから10%への引上げを一年半延期した。この間、三本の矢政策を進め、成長軌道に戻しつつあるし、賃上げも順調に行われている。社会保障制度の維持のためにも消費税の引上げは必要だ。

    小池:8%引上げの増収8.2兆円のうち社会保障の充実に充てたのは16%だけ。高齢化や医療技術の進歩によって社会保障費は毎年8〜9000億円自然増する見込みだが、安倍政権になって社会保障の自然増が毎年5000億円に抑制され、生活保護の改悪あるいは介護報酬の削減が行われている。小泉政権時代を上回る規模で抑制が行われたと認めるか。

    安倍:小泉政権時を上回る形の適正化、集約化が行われた結果だ。

    小池:小泉政権のときは、消費税増税せずに痛みに耐えて頑張れと言って社会保障の削減をやった。ところが、安倍政権は、消費税増税しながら、社会保障は小泉政権以上に削減している。

    【1/19 大久保勉(民主党・新緑風会)】

    日銀総裁:日本銀行は量的質的緩和導入を2%物価安定目標まで継続する。2013年以来の見通しは原油価格下落により外れたが、後ずれは2014夏以降の原油価格下落によるものであり、物価、失業率、労働環境は改善されている。今後も必要なら躊躇なく金利政策を実施する。

    大久保:アベノミクスで株が上がった、というより、株を買い上げた、という理解か。株が下がれば年金が減り保険料が上がるというリスクがある。

    安倍:株価にはあらゆる要素が反映され、様々な要因が影響している。株と国債は資産特性があり分散投資により年金財政上必要な利回りを確保できる。今後、国内債券だけでは実質的年金給付を行うことが困難なので、株式投資への分散投資を進めている。長期的に見れば、年金財政下回りリスクは少なくなった。

    ◆軽減税率(据え置き税率)

    【1/18 小池晃(日本共産党)】 速記録 http://www.a-koike.gr.jp/?p=2995

    <消費税負担試算>

    小池:消費税10%かつ軽減税率適用の場合、世帯にどれだけ負担増になるか。

    麻生:負担額は年間、単身世帯当たり22000円程度、二人以上の世帯当たり41000円程度。

    小池:年収1500万円では家計に占める消費税負担率が0.4%増え、年収200万円以下の場合、消費税負担率は1%程度増える。年収200万円で2万円消えるのは深刻だ。10%に増税すれば8%のときより逆進性が強まるのではないか。

    麻生:単純計算すると当然そうなる。

    【1/18 小池晃(日本共産党)】 >>速記録

    <軽減税率財源試算>

    小池:食料品、新聞の税率を8%に据え置くために一兆円必要とのことだが、その試算根拠は。

    麻生:
    試算1:(家計調査から)税率1%当たり消費税額2.1兆円 × 家計調査における軽減税率の対象品目の消費額の割合24% × 軽減税率幅2% ≒ 1兆円。
    試算2:(税収から)総世帯の一人当たりの負担軽減額4800円 × 人口1.2688億≒6100億円。

    小池:1兆と6千億の差はなんだ。

    麻生:税収入から算出した値と、家計調査から算出した値の誤差だ。家計調査の方がアバウトだ。

    小池:家計調査から算出した1兆円が不正確または過大だとすれば、これまでの財源の議論が全部無駄、やりなおしになる。

    安倍:家計調査は家庭に会計簿をつけてもらってそれをサンプルとし、それをマクロレベルに積算したもの。1兆円は、実績(サンプル家庭の家計簿)ベースで出されたマクロの数字だ。家計調査からマクロの数字をとるのは本来の趣旨と異なるが、民主党から質問されたので計算をしたまで。

    小池:政府の統計(試算)がでたらめだ。

    【1/19 小池晃(日本共産党)】  >>速記録 

    小池:総務省の家計調査は消費実態を把握していない、となれば、今まで家計調査を基にした統計は実態に合わない数字だったということになる。消費税増税した場合の負担増を実態に合わせるとどういう数字に変わるか。

    麻生:減収見込額一兆円程度を世帯数や人口で除して機械的に算出すると、軽減税率制度を導入して標準税率を10%に引き上げることによる負担増は一世帯当たり62000円程度、一人当たり27000円程度となる。

    小池:今まで、一世帯当たり35000円、一人当たり14000円程度と答弁していた。実際の負担を小さく見せかけてやってきたことの責任は重大だ。

    安倍:丁寧に説明していきたい。総額において一兆円で間違いないだろうと考えている。

    小池:試算の誤差が二倍。国会でこのような説明をして採決とはとんでもない。一兆円の試算も疑問だ。

    【1/18 山田太郎(維新・元気の会)】 

    <有害図書の扱い>

    山田:菅官房長官はTVで「図書に軽減税率を適用するには有害図書を排除する必要がある」と発言した。その真意は。

    菅:一つの考え方を述べたものだ。「有害」の線引きは一つではない。「表現の自由」もある。議員立法のような形で法制化することが大事だろう。これから検討する。

    麻生:何を雑誌とするかの規定がない。雑誌を所管する役所がない。民間団体全部意見が違う。有害の要件採用までには時間がかかる。

    山田:国家が何を有害と決めるか、は表現の自由の観点からみておそろしい。民間団体の自主規制(成人コーナーなど)があるが、民間団体が税区分を決められるか。

    麻生:むずかしい。時代とともにかわる。

    山田:出版前の事前検閲はあってはならない。

    安倍:検閲はできない、考えていない。

    【1/19 川田龍平(維新・元気の会)】

    川田:軽減税率による負担軽減額1兆円の9割は、年収300万円以上に恩恵、半分の5000億円は年収500万円以上の方にいく。

    麻生:金額ではなく、年収に対する負担割合で考えると、年収1500万円以上では(消費税10%で)2.5%→(8%据え置きで)2.4%に、200万円未満では(消費税10%で)7.2%→(8%据え置きで)6.7%に負担割合が減少。所得の低い方の方が軽減割合大きい。

    川田:年収1000万以上の人に1000億円の財源が使われる。低所得者対策ではない。

    年収に対する負担割合
    消費税10%の場合8%据え置き(軽減税率)
    年収1500万円以上2.5%2.4%(−0.1%)
    問題:年収1000万以上の人に1000億円の財源
    年収200万円未満7.2%6.7%(−0.5%)
    問題:所得の低い方が軽減割合大きい。

    川田:軽減税率財源で不足する4000億円を重点化効率化によって生み出すということだが、その中身は、サラリーマンの全面総報酬割(報酬水準に応じた保険料UP)で2004億円、介護保険利用者負担引き上げで400億円、特養入所者の補足給付の見直しで350億円、入院時の食事代の見直しで405億円など、すべて国民負担だ。

    塩崎:社会保険は、保険料収入、税、自己負担の助け合いの仕組みであり、それを決めるのが国会だ。原則は負担能力に応じた負担であり、重点化効率化でも負担能力に応じた負担をお願いする。

    川田:総理は社会保障は削減しないと言いながら、サラリーマンの保険料UPや入院時の食事代負担を押し付けるなどで4000億円をひねり出し、それを高額所得者にメリットの多い軽減税率に使う。国民を欺いている。

    ◆臨時福祉給付金

    <施策>

    【1/7 前川清成(民主党・新緑風会)】

    前川: 2009年、麻生内閣は総額2兆円を定額給付金としてばらまいたが、消費に回ったのは25%、個人消費を0.2%押し上げたにすぎない。臨時福祉給付金としてばらまく3600億円のうちどれだけが消費にまわり、GDPに寄与するか。この3000億円を補正予算に緊急に盛り込んで5・6月にばらまく理由は7月の参議院選挙対策か。

    安倍:(アベノミクスの成果を自画自賛したうえで)全国的に賃金が上昇したが、高齢者にはその恩恵が及びにくい。加えて、1年余り前、消費税10%への増税を延期する際、子育て・現役世代向けには4月から子供子育て支援制度を開設するなど着実に実施したが、高齢者向けには施策を先送りした。今回の給付金は、先送りした高齢者向けの支援を、税収増を活用し、増税前に前倒しで実施するもの。選挙対策ではない。

    麻生:一般的に高齢者は他の年齢層よりも消費性向が高く、軽減税率は消費や景気に一定の効果があり、実質GDP0.1%程度押し上げるものと見込まれる。

    >>◆年金生活者等への臨時給付金

    前川:例えば飲み水に関して、高所得者はミネラルウォーターを購入することが多く、低所得者は水道の水。ミネラルウォーターは8%、水道水は10%の消費税。1匹100円のさんまも、100g何十万円のキャビアも税率が8%据え置き(軽減税率)。高所得者の方がより多くの恩恵をうける。軽減税率は低所得者対策にはならない。対案として、生活困窮者に限定し、直接現金を継続的に支給する「給付付き税額控除」を実施すべき。米国、欧米でも実施されている。より少ない予算で効果的、個人消費下支えする。

    安倍:(税申告時に金額が決定する)給付付き税額控除とは異なり、軽減税率は、買い物の都度痛税感の緩和を実感できる。

    麻生:水道水は公定料金で利用者負担が配慮されている。食料品は食品表示法等により線引きを明確に示すことができ、消費者、事業者にとってわかりやすい。食料品以外の消費物は多いが、それらを適用対象とするとゆがみが生じ、際限なく広がり、消費税収の減収をまねく。

    >>◆軽減税率(据え置き税率)

    前川:軽減税率に関しては何が対象となるか一義的に線引きが不可能。業界団体の陳情合戦を招き癒着と利権の温床を生む。

    安倍:(業界団体等の)多様な意見に耳を傾けながら検討する必要がある。軽減税率は総合的に勘案して決定したものであり、癒着や利権の温床を生むものではない。

    【1/19 斎藤嘉隆(民主党・新緑風会)】

    <景気の下支え効果>

    斉藤:臨時福祉給付金のどの程度が消費にまわるか、景気下支え効果をどう見込んでいるか。

    森山:個別の政策ごとの経済効果は試算していない。

    <2009年定額給付金の検証>

    斉藤:2009年、麻生政権は「定額給付金」として12000〜20000円を全国民に配った。政府調査結果では、支給額の25%しか消費に回らなかった。内閣府の消費性向調査によると、そのとき受給額の、高齢者世帯で37%、子育て世帯で40%が消費に回された。総理は臨時福祉給付金の景気下支え効果に関して「高齢者層は他の年齢層より消費性向が高い」と言うが、子育て世帯の方が消費性向は高い。高齢者世帯は耐久財消費が小さく、景気の下支え効果は薄い。前回調査を生かさなければ、同じ間違いを繰り返し、財政負担が増す。

    <なぜ高齢者世帯か>

    1)高齢者には賃金引上げの恩恵が及びにくい。
    2)消費税8%引き上げ延期を決断した際、年金生活者支援給付金を先送りし、税収増になったら給付すると約束した。
    2)子育て世帯には支援策を実施済である。子育て世帯には賃金引上げの恩恵もある。
    したがって、今回、アベノミクスの果実を活用し高齢者に3万円を支給する。

    ◆高度プロフェッショナル制度

    【1/7 石橋通宏(民主党・新緑風会)】

    石橋:新たに導入される「高度プロフェッショナル制度」は新たな残業代ゼロ制度だ。撤回を。

    安倍:「時間ではなく成果で評価する制度」だ。

    塩崎:高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制の適用除外で、医師による健康管理を罰則付きで企業に義務付けている。

    ◆法人税減税

    【1/18 小池晃(日本共産党)】 >>速記録

    小池:安倍政権はこれまで、復興特別法人税の一年前倒し廃止、 法人税率引下げなどで3兆円の法人税減税を実施し、来年度以降は追加で1兆円減税する。その効果を調べてみた。

    上位減税十社:一位はトヨタ、トヨタ自動車、二位は三菱東京UFJ銀行、三位はNTTドコモ、三井住友銀行、KDDI、みずほ銀行、国際石 油開発帝石、JR東海、富士重工業、第一生命保険。この十社の過去二年間の税引前利益は2兆3全億円増加。3000億円超が減税分であり、来年度はさらに1500億円減税が増える。配当は1兆円超え増加。ところが賃金は900億円しか増えていない。大半は投資家の懐に消えている。経済にも財政にもメリットがない減税だ。


    (赤旗2/4より引用)

    安倍:法人税減税は、ビジネス環境を良くし、企業の競争力を引き上げ、企業の背中を強く押していく効果があった。

    麻生:企業の利益が出た分において、内部留保が大幅に増えている(24兆、26兆、49.9兆、50兆)が、それを賃金、配当、設備投資にもっと回されてしかるべきだとずっと述べている。

    小池:消費税10%増税は中止をすべきだ。増税するなら富裕層や利益を上げている企業に応分の負担を求めるべきだ。国民の暮らしが良くなければ経済の好循環なんて生まれない。根本的な転換が必要だ。

    ◆企業献金

    【1/7 井上哲士(日本共産党)】

    井上:日本経団連は2015年10月13日、新内閣に対し、消費税増税や法人税引き下げ、原発再稼働、TPP協定の発効、労働法制の規制緩和などを求め、その上で、会員企業に献金実施を呼びかけている。電力会社や原子力関連企業から自民党への献金は2012年の約3億円から2014年の約7億円に急増した。まさに政策を金で買うもの。大企業が今果たすべき社会的責任は、内部留保を使った賃上げや正社員化、まともな下請け単価への是正ではないか。自民党への政治献金を、大企業の社会的責任こそ果たせと求めるべきではないか。

    ◆環境性能割新税

    【1/7 前川清成(民主党・新緑風会)】

    前川:消費税10%引き上げ時に自動車取得税の廃止が決まっているが、今の与党合意で、環境性能割新税が自動車取得時に課せられる。取得税廃止の意味がない。消費税10%に伴って、地方消費税1.7%から2.2%、地方交付税は1.4%から1.52%に引き上げられ、その結果地方の財源は2兆増加するのだから、環境性能新税は必要ない。

    高市:環境性能課税はグリーン化機能維持強化のため環境性能に応じた新税であり、自動車取得税の名前を変えたものではない。

    >>自動車の新税制「環境性能割」-全体では減税でも軽自動車は増税か

    前川:昨年国内の新車販売台数は504万台とリーマンショック直後レベルまで落ち込んだ。消費税10%、人口減のもと自動車産業まで空洞化したら、経済、雇用に対する影響は甚大。環境性能新税をやめるべき。

    林:新車販売台数は、消費増税前のかけこみ需要で増加。その後は減少の可能性。環境性能割は自動車取得税より200億円程度縮小し、ユーザー負担は軽減されている。

    ◆TPP

    【1/7 井上哲士(日本共産党)】

    井上:国会や国民が検証できるよう、TPP大筋合意の交渉内容や合意の日本語全文を国会に直ちに示すよう強く求める。内容も示さないまま、補正予算に「TPPの緊急対策費」が盛り込まれた。政府発表のTPP影響試算は、2年前の試算と全く違っている。TPPによる国内総生産の伸びは4倍以上、農林水産物の生産額は大幅減少。対策効果を過大に見積もり、農業への影響は過少に見積もり、国内対策を急いで国民の批判をそらし、参議院選挙をのりきろうというやり方は許されない。TPPはまだ協定の正文も確定していない。国民生活全体に深刻な影響をもたらすTPPは今からでも撤退すべきだ。



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