■9月8日の参考人意見陳述◆宮家邦彦(参考人 立命館大学客員教授)参考議事録:<リンク>聞文読報-文字に起こし、目で聴くブログ●参考人の意見に対し、当サイト作者のコメントを付けました。 大森政輔(参考人 元内閣法制局長官・弁護士)参考議事録:<リンク>聞文読報-文字に起こし、目で聴くブログ●示唆に富んだ部分を整理し、作者のコメントを付けました。 神保謙(参考人 慶應義塾大学総合政策学部准教授)参考議事録:<リンク>聞文読報-文字に起こし、目で聴くブログ●示唆に富んだ部分を整理し、作者のコメントを付けました。 伊藤真(参考人 日本弁護士連合会憲法問題対策本部副本部長・弁護士)参考議事録:<リンク>聞文読報-文字に起こし、目で聴くブログ●示唆に富んだ部分を整理し、作者のコメントを付けました。 ■9月4日の審議◆武器等防護に係る問題【9/4 蓮舫(民主党)】●全審議記録と、私が考える要約を載せました。頭の体操にどうぞ。■9月2日の審議◆誤想防衛と殺人罪【9/2 白眞勲(民主党)】白:自衛官が、市街地で民間人をテロリストと間違えて撃ってしまった「誤想防衛」について。衆議院で大臣は、現行の一般の刑法が適用される、自衛官個人が処罰の対象となる、と答弁した。自衛官は、普通は上官の命令で発砲する。上官、その上の上官、派遣部隊の司令官は刑罰の対象になるか。中谷:発砲した隊員が民間人を死亡させるという認識があった場合は故意の殺人で殺人罪が適用される。上官の命令の場合も、故意の殺人が認められ、上官にも殺人罪が適用されると考えられる。上層の上官、命令を出した上官とどのような関係があるか、共働で犯罪を実行したかどうかによって刑法の適用が異なるので一概には言えない。 白:自衛隊として組織で活動しているのに、撃った個人とその上官は殺人罪、しかしその上の司令官は無罪になる可能性がある、ということでは隊員がかわいそう、違和感を感じる。 中谷:部下に殺人罪が成立する場合に、仮に上官が手を下さないとしても、法的には上官と部下の行為が「共同」して犯罪を実行したと評価されるかどうかによって、上官が刑法の適用を受けるかどうかが判断される。 白:まるで旧日本軍のシステムと同じだ。「私は貝になりたい」という映画、末端の隊員が責任をかぶせられて上司は咎を受けないという法律体系は、戦前と変わらない。 今の法案では、自衛隊員が撃たれた場合でも、衛生兵は注射を打つこともできない。万一民間人を撃ったら殺人罪、更に民事訴訟で多額の賠償金を請求される可能性もある。 ◆核兵器の輸送【9/2 白眞勲(民主党)】白:理事会提出資料に「米国が我が国に核兵器の輸送を要請することがない旨確認している」と書いてある。米国に対し、いつ、どのように確認したか。岸田:国会の安保法案審議を踏まえて、8月7日以降、外交ルートで、国務省日本部を通じて、我が国から米国の国務省、国防省に照会した。 白:こちらから核兵器の輸送はしない」と話したのか、それとも向こうから「核兵器の輸送をするか」ときいてきたのか。口頭か文書か。 岸田:我が国から米国に照会した。文書か口頭かは確認していない。 →確認方法を理事会にはかる。 ◆徴兵制前川清成(民主党)前川:総理は、徴兵制をしない理由の一つとして、「自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団だ、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊は作れない」と述べた。韓国は徴兵制だ。韓国の軍隊は精強か。中谷:精強な軍隊だ。 前川:そうならば、総理答弁の根拠が崩れる。ハイテク装備だから徴兵制をしない論は通らない。 前川:軍事的な緊張が高まったから、かつて廃止していた徴兵制を復活させた、という例はあるか。 中谷:確認する。 前川:2014年、ウクライナでは、ロシアの軍事介入に備えて徴兵制を復活させた。2015年9月、リトアニアも同様。 ◆被害国からの要請中谷:外交ルートを通じて正式な連絡がある。 前川:具体的には 岸田:首脳同士の意志疎通、当局同士の意思疎通。具体的な形は決められていない。 前川:戦争するかしないか、自衛隊が死ぬか死なないか、という問題だ。首脳同士の電話で決めるのではなく、もっと厳格な手続きを法律で定めておくべきだ。 前川:要請同意がなければ集団的自衛権を行使できない。日本の場合は自衛のための集団的自衛権だ。自衛のためなのにどうして要請同意がないと行使できないか。 岸田:憲法上認められる(自衛のための)武力行使を国際法上(集団的自衛権だと)正当化する理由が必要、その理由となるのが「攻撃を受けた国からの要請・同意」になる。 前川:自国防衛のための集団的自衛権だ。自分の身が危ないのに他人の確認をとらなければ身を守れない、というのはおかしい。 ◆幕僚長の訪米【仁比聡平(日本共産党)】仁比:2014年12月17-18日、河野統合幕僚長が渡米し、米軍の幹部(ワーク国防副長官、デンプシー統合参謀本部議長、オディエルノ陸軍参謀総長、ブリナート海軍作戦部長、スペンサー空軍副参謀長、ダンフォード海兵隊司令官、スイフト海軍作戦部統幕部長)と会談した。 共産党は、会談の結果概要を報告する防衛計画部の文書を入手した。
中谷:その資料を承知していないのでコメントできない。 → 理事会で協議 ◆米軍基地の日米共同利用【仁比聡平(日本共産党)】仁比:沖縄の在日米軍基地の自衛隊との恒常的な共同使用について、大臣は、『代替施設における恒常的な共同使用というのは考えておりません』、総理は、『もちろん報告も受けておりませんし、まったく考えておりません』と答弁している。一方、河野統幕長は、「辺野古への移転やキャンプハンセン、キャンプシュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化する。これにより、沖縄の住民感情も好転するのではないか」と、会談のなかで述べている。共同利用はするかしないか。中谷:確認したうえで、答弁する。 ◆親子が乗っていない艦船【中西健治(無所属クラブ)】中西:朝鮮半島有事の際に退避する国民の命をどう守るのか、たまたま乗った船によって、邦人保護に差が生じるのは不条理だ。ベトナムの船に乗った場合は新三要件の蓋然性が低いため保護されない。一方、米国艦船なら邦人が乗っていなくても防護されるというのはおかしい。中谷:邦人輸送中の米艦防護に関しては、存立危機の認定において邦人の乗船は不可欠ではない。 中西:米艦保護のために集団的自衛権を認めるのか。 中谷:三要件に該当すれば実施できる。総合的に判断する。 中西:邦人が乗っていないケースで米艦を防護するのは、有事における米艦防護(=個別的自衛権の行使の方)と同じではないか。 中谷:邦人が乗っている場合の米艦防護は、事例の一つであり、邦人が乗っていない場合もありうる。邦人を輸送している米艦艇の防護が「不可能ではない」という事例だ。邦人が乗っていることは、判断材料の一つであり、個別具体的に検討し総合的に判断する。 中西:「邦人親子が乗った船を防護する」、と国民に説明したことは、情緒的扇動だ。親子が乗っていない船を出して説明すべきだ。 ◆エバキュエーション(退避)【中西健治(無所属クラブ)】中西:8/4の本委員会で、安倍総理は、「日本近隣で紛争が起こることを想定してさまざまなエバキュエーション(退避)計画を立てている、その中で米国艦船あるいは米国がチャーターした艦船等が多くの人を日本に輸送することになっている。」と答弁した。韓国には短期滞在者も含めて日本人が6万人いる。具体的に何人規模の計画を立てているか。岸田:(人数について回答なし) 中西:総理にエバキュエーション計画を開示するよう要請したが、できないとのこと。どうしてできないか。 岸田:(回答なし) 中西:エバキュエーションはこの法案の立法事実に関わる。存立危機事態の認定に際し国会承認が必要で、その際はこれを見るはずだから、今開示してほしい。 岸田:総理の言うエバキュエーション計画が、具体的に何を指すのか、確認の上回答する。 →理事会にはかる。 ◆新ガイドライン又市征治(社会民主党)又一:2015年4月、18年ぶりに日米防衛協力の指針、新ガイドラインが改訂合意された。平時から戦時まで切れ目なく日米軍事一体化を進めるために海外での武力行使、集団的自衛権の行使が盛り込まれた、憲法違反の取り組みだ。安倍首相はこれを受けて、「日米同盟はアジア太平洋地域のみならず世界の平和と安定になくてはならない」と表明し、米国議会でその合意を法制化する安保法案をこの夏までに成立させると約束してきた。新ガイドラインは条約ではないから国会承認は不要という見解のようだが、その内容は、現行の日米安保条約の内容を大きく変更し、憲法の枠をはみ出して、現在審議中の安保法案の成立なくして履行できないというものだ、本来国会承認を求めるべきだ。岸田:新ガイドラインの基本的構造は前のものと変わらない。立法、予算、行政上の新たな義務を生じるものではない。日米安保関連条約の権利義務を変更しない。その時々の憲法や国内法に従う。1978年、1997年にも国会承認を必要としていない。これらの理由から、国会の議論に齟齬を生じていない。 又一:外交や防衛政策を規制する任務を持った国会を軽視するものだ。 又一:新ガイドラインには、米国の戦闘捜索救難活動を支援するという項目がある。重要影響事態法7条では安全な地域での活動を規定しているが、例外として、すでに遭難者が発見されその救助を開始している場合は捜索救難活動を継続することとなっており、その場合、自衛隊が戦闘に巻き込まれる危険性が高まる。 中谷:遭難者の救助を開始している場合は人道上の見地から活動を継続できる、これはあくまでも部隊の安全が確保されている場合に限る、と法律上明記されている。戦闘行為に巻き込まれる可能性は高まらない。 又一:例外規定は、遭難者発見の場合は戦闘が開始されても遭難者を救助する、ということで、安全確保できないことははっきりしている。 ◆装備の増強【又市征治(社会民主党)】又一:安倍総理は「法案が成立しても専守防衛には変わりない」と言っている。専守防衛は、日本の領土領海領空を超えて武力行使する能力や装備を持たないことだ。日本と密接な関係国への攻撃にも対処するとなれば、装備の強化も必要となるのでは。中谷:新しい装備が必要になったり装備の大増強が必要になることはない。(新しくない装備、中小規模の増強はある?) (※)又一:集団的自衛権の行使ができるとなれば自衛隊の行動範囲は地球上いつでもどこへでも即刻活動できる装備を持たなければならない。 中谷:自衛隊の役割はより一層重要になるが、新しい装備が必要になったり装備の大増強が必要になることはない。 (※)に戻って2回くりかえし ◆必要最小限【又市征治(社会民主党)】
中谷:新三要件の必要最小限度は、存立を全うし我が国を防衛するための必要最小限。海外派兵は一般に許されないということも含めて、必要最小限度は新三要件でも旧三要件でも変わらない。 又一:目的達成の手段が異なるから同じであるはずがない。日本自身の防衛と他国防衛が同じ程度で済むはずがない。新三要件でも旧三要件の必要最小限度は同じか、違うか。 中谷:我が国に対する武力攻撃が発生していなくても、我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が客観的に存在している以上、我が国の存立を全うし国民を守るための必要最小限についての具体的な限度は、武力攻撃の規模、対応等に応じて判断することができると考えている。武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土領海領空へ派遣する、いわゆる海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されないと解している。これは我が国に対する武力攻撃が発生しこれを排除するための武力を行使する他適当な手段がない場合においても、対処の手段、対応、程度の問題として一般に他国の領域で武力行使に及ぶことは旧三要件の第三要件の自衛のための必要最小限度を超えるものという基本的な考え方を示したものだ。このような従来からの考え方は、新三要件のもとで行われる自衛の措置、すなわち他国の防衛目的とするものではなく、あくまで我が国を防衛するための必要最小限度の措置にとどまるものとして、武力の行使における対処の手段、対応、程度の問題としてそのままあてはまるもの考えている。 (煙幕〜!横畠さんが作ったのか?大臣は官僚の作文を上手に朗読しました。要約困難なのでまずはきっちり全文掲載します。) 次に苦心の要約: 我が国に対する武力攻撃が発生していなくても、密接関係国に対する武力攻撃が存在していれば、我が国を防衛するための必要最小限(の手段、対応、程度)は、(敵対国の)武力攻撃の規模、対応等に応じて判断できると考えている。 憲法上、海外派兵は許されない。ここで海外派兵とは「武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土領海領空へ派遣する」こと。武力行使の目的を持たず、武装しない部隊を派遣することはOK。補給、輸送、遭難者捜索等は武装しないし、直接ドンパチ戦わないし、危なくなったら退避するからOK。 新三要件では、密接国のための海外に行くが、他国防衛目的ではなく、あくまで自衛のための必要最小限度なので、旧三要件と同じである。 文字上、旧三要件も新三要件も「自国防衛のための必要最小限」と丸めることができるが、旧三要件の場合は日本領土内の専守防衛、新三要件の場合は世界中いつでもどこでも相手かまわず。両者で必要となる自衛隊の装備が同じであるはずはない。「必要最小限」という言葉にとらわれず、「手段、対応、程度」を比較してほしいよ、野党さん。 ◆中三からの自衛官募集【9/2 山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)】山本:防衛省によると、自衛隊は、全国のほとんど全ての市区町村から、中学3年生と、17歳から23歳までの合計7世代の若者をターゲットとして、住所、氏名、生年月日、性別の四つの個人情報を収集してDMの郵送、戸別訪問、ポスティング、等募集活動をまめにやっている。中谷:自衛官の募集は、自衛隊法に基づいて自衛隊地方協力本部が実施するほか、法定受託事務として都道府県の知事、市町村の長がその事務を行うこととしております。募集対象の情報につきましては、自衛官の募集に関し必要があることから、住民基本台帳に基づいて、住民基本台帳の一部の写しを閲覧から請求する、より取得をいたしております。 参照:住民基本台帳閲覧申請(沖縄) 山本太郎氏のオフィシャルサイトより
山本:DM発送諸経費から計算すると、平成26年度の高校3年生(18歳)人口は118万人のうち34%の40万人または21%の25万人(DMの送料によって数量が異なる)にDMが送られた。集めた個人情報、全員分郵送しているわけじゃない。DMを送る人間を選別している。個人情報四情報以外からも防衛省は個人情報を収集しているか。 中谷:していない。 山本:自衛隊の直接戸別訪問を受けた人の話:「自分は消防に就職希望を出しているが、自衛隊の担当者が、自衛隊との併願でどうだ、とわざわざ言いに来た。」 4個人情報以外に収集しているのではないか。もっと楽に情報収集できるようマイナンバーを使うのではないか。 中谷:自衛隊は、募集の相談員や自衛隊のOBの協力者を通じて優秀な人材の勧誘、確保に努めている。今のところ自衛官の募集にマイナンバーを利用する予定はない。 ■8月25日以降の審議◆武器等防護【8/26 小川勝也(民主党)】
中谷:国または国準に対する武力行使に至らない武器使用がある。日常時、警戒監視時、PKO活動時、安全確保のための武器使用がある。ミサイルで撃たれる、などではない事態において日本は米軍を防護する。 小川:潜水艦から米艦に魚雷が撃ち込まれたら、日本のイージス艦からアスロック(対潜水艦)ミサイルを打たないか? 中谷:自衛隊法第95条は、現に戦闘行為が行われている現場を除く、となっているので、戦闘攻撃はしない。 小川:米艦船が魚雷で狙われていて、日本の艦船のみが防御ミサイルをもっているときに、日本は防護しないのか。 中谷:日本側は武力行使をしない、ということを米側と調整しているので、法律の範囲内で米側を防護する。武器等の退避によって防護が不可能な場合、 他に手段がなくやむを得ない場合でなければ武器を使用できない。防護対象の武器が破壊されたり、相手方が襲撃を停止・逃走した場合は武器使用ができなくなる。正当防衛、緊急避難でなければ人に危害を与えてはいけない。これらの要件が満たされない場合は武器使用できないので、米側に対してこれらの要件を説明して理解を得る。 小川:武器使用の行使要件の2「武器等の退避」を米国の艦船に恥ずかしくて言えないだろう? 中谷:米国に(追撃は)できない、と言う。米側に事前に説明しその前提で活動する。 小川:日本のイージス艦が米艦船を守るとき、「警察比例」で守るとはどういうことか。 中谷:「警察比例の原則」は、その手段対応は除去されるべき障害の大きさに比例しなければならず選択可能な手段のうち必要最小限度にとどまらなければならない。 小川:米艦船が敵艦からの魚雷で撃たれたら、自衛外は、それしか方法がないとして警察比例でアスロックミサイルを撃てるのか。 中谷:個別具体的なケースがある、共同訓練実施する、日米間で協議する、日本の法律に従って行動する。 小川:米国は都合のいい時だけ防護するような相手に防護を頼みたくないだろう。 中谷:自衛隊は法律の範囲で防護する。米国には説明し理解を得る。米国の警護部隊と緊密な連携をとる。 小川:武器使用できないならば防護はできないだろう。 中谷:憲法の範囲内で法律を考えた。武力行使できないという前提で法律を提案している。 小川:武器等防護の対象となる武器は従来、機関銃、武器庫等防護であった。それを米国の空母や艦船まで対象を広げる、というのは法律に対する冒とくだ。この法律では、「自衛官は米国等の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織を防護できる」とされていて、日米同盟やアクサ(ACSA:米国軍の物品役務相互提供協定)を結ぶ諸国だけでなく無尽蔵に他国を防護できる。内閣法制局がまともに機能していたらこんな歯止めのない法案を作るはずがない。日本のイージス艦は装備、乗組員のモラル、能力、性能が最高である。しかし、憲法があって憲法の上に法律が作られている。刑法、刑事訴訟法、軍法、軍事裁判がないと武器使用も武力行使もできない。大臣もできないことが多い、と言っている。こんな未整備な法体制で自衛官が万一米国に裁かれることになったらどうする。この法律は武器等防護ができたらいいという願望であり実態のない法律だ。 ◆国会承認【8/25 福島みずほ(社会民主党)】福島:大臣は、7月8日の衆議院の特別委員会で、重要影響事態から存立危機事態に移行する場合もあり得る、と答弁した。重要影響事態から存立事態に移行する場合があるということは、重要影響事態そのものも、極めて危険だということにはならない。中谷:「存立危機事態は概念上、重要影響事態に包含をされるものであり、重要影響事態として認定をされた状況が、さらに悪化して、存立危機事態の要件を満たすこともあり得る。存立危機事態は、武力を用いた対処をしなければ、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様、深刻かつ重大な被害が及ぶことが明らかな状況で、重要影響 事態から存立危機事態に至った場合は、防衛出動を命じられた自衛隊は、わが国を防衛するために必要な武力の行使ができる。ただし、存立危機事態でのわが国の武力の行使は、あくまでも、そのような深刻、重大な被害を及ぼすことが明らかな武力攻撃を排除することに限られる。 福島:後方支援をしていて、相手方から攻撃を受ければ中止する、停止する、避難すると言うが、(実際には)そんなことできない。重要影響事態から、存立危機事態に移行し、(現場は武力行使に)突入していく。政府が存立危機事態に当たると認定すれば、そのまま突入できるのだ。国会の事前承認もなく、極めて危険なことだ。まさに日本が(米軍などに)武器弾薬を提供し、かつ給油をする先に何があるのか。『日本は、被害者にも加害者にもなるべきではない』 【8/26 荒井広幸(新党改革)】荒井:PKO法、存立危機事態、重要影響事態法は原則国会事前承認だが例外で事後承認も認めている。PKOは「国会が閉会中、衆議院が解散中は事後承認を認める」。存立危機事態(事態対処法)は「緊急の必要があり事前に国会承認を得るいとまがない場合」。重要影響事態法は「緊急の必要がある場合」。なぜ書きぶりが違うか。中谷:いずれも事後承認を認めなければ我が国の平和安全確保に支障をきたす緊急時に事後承認を認める。PKOでは国会の開催を待っていては国際社会の要望にタイムリーに答えられない場合、国会の事後承認を認める。 荒井:PKO法の場合は具体的だ。それ以外の場合は、「緊急」というばかりで具体性がない、政府にフリーハンドを与えるものだ。日本が直接攻撃される、またはその恐れがあるのであれば個別的自衛権で対処すべきである。 荒井:事後承認で自衛隊を海外派遣したのち、国会が不承認としたら、海外に派遣した自衛隊は撤退しなければならない。撤退すれば共同対処していた相手国軍(の防衛が手薄になり)が厳しくなる、攻撃される危険性、「逃げるのか」と批判、多大な影響を追う。国会が、正当性はないが撤退を躊躇しかねないリスク(撤退のリスク)があり、国会が追認する機関になりさがる。だから、例外なく事前承認とすべきだ。 ◆法律の規定がない【8/26 水野賢一(無所属クラブ)】水野:集団的自衛権を行使するときは要請が必要だ、これは当然だ、要請もなく自衛隊を海外派遣したら国際法違反で侵略だ。存立危機事態の認定において武力攻撃を受けた密接関係国からの要請が必要か。法文のどこに書かれているか。中谷:存立危機事態の認定においては対処基本方針を決定するが、その際、武力攻撃を受けた国の要請または同意が必要であるが、その点について法文上はどこにも書いていない。 水野:日本が存立危機事態かもしれない事態に陥っているのに他国の要請・同意がなければ認定できない、というのはおかしい。概念が自己矛盾だ。 中谷:存立危機事態の定義に(他国からの要請同意は)含まれていない。しかし、要請同意がないにもかかわらず対処基本方針を定めることは、ございません、いたしません。 水野:存立危機事態認定の際の判断基準となる三要件には、他国からの要請同意が必要、とは書かれていない。 中谷:「他国からの要請同意が必要」とは、存立危機事態の定義には明記されていない。認定の前提条件として、国際法に則るというのは当然だから。 【8/26 荒井広幸(新党改革)】荒井:存立危機事態発生(ホルムズ海峡での機雷掃海))時、想定される概ねの予算規模は。防衛省:過去事例では、H3ペルシャ湾に機雷掃海に自衛隊を派遣した際、隊員510名、掃海艇4隻、母艦4隻、補給艦1隻、現地で活動約3ヶ月活動した事例では、追加費用として当時の価格で13億円がかかった。 荒井:仮にホルムズの事態が発生した場合その予算はいつ、どこから支出するか。 財務省:自衛隊の活動に伴って必要となる経費は、当初予算の執行または補正予算、予備費で対応する。 荒井:防衛省の予備費か、それとも国家財政の予備費か。 財務省:政府全体としての予備費。 荒井:もちろん、最初から防衛予算の予備費に計上していたら、好き好んで海外派遣することになっておかしい。補正予算で対応する場合、国会で予算規模、正当性を議論した上で予算計上するか。 財務省:事案の中身、規模によって違うので一概には言えない。 荒井:防衛省の予算内でできる場合もあり、その場合、決算まで行為の正当性を評価できない。予算面からは歯止めがきかない。国益にかなうかどうかを事前に国会で審議しておく必要がある。 【8/25 福山哲郎(民主党)】
中谷:(法文中に)この実施区域の指定とか、一時休止、中断の明記はない。自衛隊法第4条に、隊員の安全確保についても配慮した上で、必要な後方支援を行うという趣旨が含まれる。 福山:〔4条〕には安全確保の規定はない。 中谷:たしかに〔重要影響事態法〕や新法のような安全配慮義務等の規定はないが、これは〔武力の行使〕ではなくて、〔後方支援〕であるから、安全確保は当然のことだ。後方支援は戦闘ではないし、危険を回避して安全を確保した上で実施するものであり、安全な場所で行うことが大前提、隊員の安全確保のための措置は、このような形で担保した。 (中谷氏、あいまい答弁を延々と繰り返し、委員長の「速記止め警告」を9回受けて休憩に突入。) 鴻池委員長 この際、委員長より申し上げます。午前の福山委員の質疑におきまして、中谷国務大臣と議論がかみ合わなかったということはご承知のとおりでありますが、この自衛隊の安全確保ということに関しましては、自衛隊、あるいは関係者以外の国民の多くの皆さまが、きわめて関心深いことであります。ここで、これ以上のかみ合わない議論が続きますと、のちの、これより先の質疑の時間を無駄にすることに相成りますので、ぜひとも、この件に関しましては、委員長預かりにさせていただきたいと思います。そこで、政府におかれましては、福山君の質疑につきまして、充分、検討を加えていただきまして、より善処をしていただくということをお願いをしたいと思います。それができますまで、いま、申し上げましたように、委員長預かりとさせていただきます。 福山:総理は、この〔米軍等行動関連措置法〕に安全確保の規定がないことを知っていたか? 安倍:知っていた。 福山:〔ガイドライン〕に基づく〔後方支援〕活動は、実は4種類も5種類もある。(安全確保)規定がないことを知っていたとしたら、総理の安全確保の答弁が齟齬をきたす。 参照:日米防衛指針、新ガイドラインの骨子 福山:国民は、総理が「すべての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれたものと考えています。」という総理の言葉を聞いて、「ああ、すべての安全保障法案には安全確保の措置がとられたんだ」と認識した。総理が、安全確保の規定が法案にないことを知っていて、こういう答弁をするのは、国民に対して、だます、誤解を与える、事実と違うことを述べた、と考えられる。 安倍:〔米軍等行動関連措置法第4条〕の「限度を超えるものであってはならない」は、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであると、与党において合意がなされた、と我々は解釈している。〔北側3原則〕の趣旨がこの中に入っていると、我々は理解している。 福山:総理は何度も、安全が確保されないかぎり、自衛隊による後方支援を行うことはないと言ってきている。自衛官の生命や身体に係わる問題であり、答弁でごまかすのではなく、法律に明確に規定すべきだ。 福山:〔米軍等行動関連措置法〕には、実施区域も安全確保も配慮義務も一時休止、中断も規定がない。なおかつ、〔存立危機事態〕においては、現に戦闘行為が行われている場所でも〔後方支援〕は可能だと統一見解が出ている。現に戦闘行為が行われる場所でも実施が可能なのに、自衛官に対する安全配慮規定がまったくないのは問題だ。 【8/25 水岡俊一(民主党】水岡:自衛隊法95条第1項は「自衛隊の武器などを職務上警護する自衛官が、その武器の防護に必要だとする相当の理由がある場合、合理的な限度での武器使用できる」となっている。自衛隊法95条第2項は、「自衛隊の武器」のところに「米軍等の部隊の武器」が入る。1項は自衛隊の装備をまもるため、2項は米軍等の武器を守るため。この最終判断はだれがやるか。中谷:95条1項を命令するのは防衛大臣。武器の使用権限は個々の自衛官が主体となってやる。95条2項の米軍武器等防護では、当然、部隊の指揮官の命令に従う。 水岡:武器等防護では指揮官の命令に従うと条文に書かれているか。 中谷:書かれていない。自衛官は、57条(上官の命令に服従する義務) に従い、上官の命令に忠実に従う。上官の命令によって武器を使用することができるのは当然だ。(命令があってもなくても使用できる)。 水岡:法案に書かれているかいないかは重要だ。89条2項(自衛官が武器を使用するには、当該部隊指揮官の命令によらなければならない)は準用するか。 中谷:準用しない。 水岡:自衛官が個人で判断するということか。 中谷:自衛官は組織の性格上部隊として活動するのが当然。警護を行う場合は部隊として武器等警護にあたるので、上官の命令に従う57条に従って活動するのは当然だ。 水岡:89条2項を準用しない、95条にも書いていない、しかし解釈で部隊の指揮官の命令によらなければならない、という論理は通用しない。 ◆8/25イラク市民の犠牲【8/25 山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)】山本:民間人の殺害、軍事施設以外への攻撃、捕虜への拷問などの禁止、これは完全な国際法違反だ。それらを禁止したものがジュネーブ諸条約、国際人道法などであり、日本はこれらの条約を批准している。安倍:自衛隊が活動するにあたって、国際法を遵守し、国際法上、違法な行為に対する支援を行わないことは当然だ。ある国がジュネーブ諸条約を初めとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、我が国が支援や協力を行うことはない。 山本:2006年3月15日、イラク中部のイシャキ村で起きた一家惨殺事件。手錠をかけられ無抵抗な状態で家にいた11人を米軍は銃殺。地元テレビでも報道され、BBC、CNNなど欧米メディアも伝えた。米兵達はファイズさんらを殺害後、家を爆破した上、家畜までも殺していった。これは戦争犯罪だ。国際法違反だ。 安倍:その事案を知らないので論議を差し控えたい。 山本:ファルージャ総攻撃(2004.11.7-12.25)では、米軍は街を完全に包囲、報道陣は街からシャットアウト。兵糧攻めの状態の中、40名を超えるイラク人、医療関係者が医薬品を持ってバクダットから駆けつけ、ファルージャ総合病院を目指したが、17名の医療関係者は米軍に射殺された。完全包囲されたファルージャの街に激しい空爆、砲撃。総合病院は米軍に占拠され、市内にあった2つの診療所は米軍が空爆した。消火活動をしていた消防士、警官までも米兵は攻撃した。2004年の最初のファルージャ攻撃では、700人以上が殺害され、2回目の11月、ファルージャ総攻撃では、行方不明者は3000人に及び、6000人もの住民が殺された。中には、白旗を握りしめたままで発見された少年の遺体もあったそうだ。これ、米軍が行ったまぎれもない国際法違反、戦争犯罪ではないか。 安倍:中身について検証する材料をもっていないので、コメントは差し控える。 山本:米軍による爆撃は日本でも、広島、長崎、東京大空襲、そして、日本中が空爆、爆撃をされた。それによって、50万人以上の方がなくなった。そのほとんどが一般市民だ。これは戦争犯罪、国際法違反ではないか。 岸田:国際司法裁判所等においても、そうした議論が行われていると承知している。 山本:この先、米軍が戦争犯罪を行った場合、総理が我が国の最高責任者として、米軍の行動を止めるか。自衛隊、撤退させられるか。 安倍:自衛隊が活動するにあたって、国際法を遵守し、国際人道法に違反する支援を行わないのは、当然のこと。 山本:アメリカ、イギリスは大量破壊兵器や化学兵器をもっていると疑ってイラクに入っていったが、結局それは何も見つからなかった。700回、500箇所を捜索したのに出てこなかった。白燐弾、劣化ウラン弾、クラスター爆弾、大量破壊兵器で、化学兵器で、自分たちがそれで、イラクに住む人々を傷つけた。これ、国連憲章違反だ。検証が必要だ。第三者検証委員会の設立を求める。検証ができていないなら、自衛隊の活動を拡大させるわけにはいかない。今回のルール改正、戦争法案では、自衛隊に死者がでるだけでなく、後方支援という名の一体化で、米軍とともに、加害者側になる可能性大だ。 ◆テロの危険性【8/25 水岡俊一(民主党】水岡:もしこの法案が成立したら、国民の安全の危険度は増すか。山谷国家公安委員長:平和安全法制により紛争を未然に予防する力、つまり抑止力が高まる。 水岡:防衛のことでなく国民の安全のことを聞いている。抑止力でテロが収まるか。 山谷:国内治安維持を行う警察が警備態勢の強化、対処能力の向上、関係機関の連携に取り組んでいる。 水岡:8月17日、タイで爆弾テロ、19人死亡、115人がケガをした。22日、オランダ、アムステルダムからパリに向かう国際列車がテロ。アフガンのカブールでテロ、12人死亡、60人ケガ。この1週間を見ても世界的にテロの危険度が増している。日本でその心配はないか。山谷:情報収集、対処能力の向上、今後とも警察の責務を果たしていく。 山谷:国内外情報収集している。今後も警察の責務をしっかり果たしていく。 水岡:イラク戦争に参戦したスペインとイギリスの例。スペインは2004年3月11日、マドリッドで電車の爆破テロ、191人死亡、2000人ケガ。イギリスは2005年7月にロンドン地下鉄爆破テロ、56人が死亡、700人ケガ。これらはイラク戦争に参戦した国に対する報復であった。日本が集団的自衛権を行使すれば日本国内でテロが起きる可能性が高まると考えないか。日本はオリンピックを迎えようとしてる。世界の注目が集まる日本においてテロの脅威が更に高まるのではないか。 安倍:テロの脅威に対しては、各国と情報共有し、情報を収集分析しながら対処する。水際で入国させない、確保するなど対策をとる。テロの温床となっている貧困、暴力を撲滅するために日本は貢献している。我が国が集団的自衛権を行使する場合は、存立危機事態であるから、当然、武力行使をしてそれを排除する。 水岡:タイ、バンコクの爆弾テロでは、米国からタイに、10人前後のテロリストの可能性のある人物が入国しているという情報があったにもかかわらず何もできなかった。日本にはそういった対応をする部署があるか。 安倍:我が国では水際で阻止し、国内で確保する対応が可能だ。いちいちについてはインテリジェンスにかかわるので答弁を控える。 水岡:もしテロの危険度が高まっているという情報があるならば国民に知らせることが大事だ。外務省は日本の国際テロ対策をホームページで紹介してあり、そのページの日付けはH27.7.15 更新であった。その中の概要には、H23.9.1、今から4年前の状況を掲載している。国民に対して現況を示していない。 岸田:外務省は各国の危険情報を更新している。情報の内容によっては細かい対応が必要なスポット情報として明らかにし、関係国の邦人に伝達するという対応をとっている。情報の伝達では、より現実的、スピーディーに伝えなければならないので、SNSシステムを導入している。 水岡:H23.9.1 のHPには、「国際組織アルカイダ・・・」「ウサマビンラディン・・」の記載がある。こういうレベルだ。大臣の答弁と外務省の行動には、あまりにも差がある。 岸田:ご指摘のHPの部分については確認する。現実の対応は絶えず更新している。 水岡:実行してほしい。 ◆経済的徴兵制【8/26 辰巳孝太郎(日本共産党) ,山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)】中谷:平成25年7月に経済同友会において前原氏(経済同友会メンバー、民間企業)側に(防衛省の一官僚が前原氏の会社まで出かけて行って)示した。 辰巳:内容は「企業側で新規採用者を2年間、自衛隊に実習生として派遣をする。一任期限定の任期制士として受け入れる。自衛隊は自衛官として勤務させて一定の資格も取得させる。2年間後、企業に戻って社員として勤務する。自衛隊での受け入れ期間中の給与等は官側の負担とする」と書かれている。なぜ体育会系人材を毎年一定確保することが企業側にとってのメリットだと、防衛省は考えたのか、仮にこの2年間の任期制士の期間中に有事が起こった際、これは防衛出動という事になるのか? 中谷:防衛出動は正式自衛隊員にならなければできない、この場合は研修プログラムで召集の対象にはならない。 辰巳:レクチャーの段階では「任期制自衛官は既に召集されており、有事の際は当然、防衛出動の対象になる」と聞いたが。 中谷:このプログラムについては、その後、検討を行ってないし、検討も行う予定もない。 ◆防衛費増大8月5日の質疑で中谷防衛大臣は「今回の法律によって装備が増えたり、防衛費増大が必要になることはない。」と答弁したが・・・。 ◆◆◆NHKニュース(8/31)防衛省概算要求 過去最大5兆911億円 「ことし4月に決定した新たな日米防衛協力の指針=ガイドラインで、宇宙空間やサイバー攻撃への対処が盛り込まれたことなどを受けて、日米が連携して宇宙空間の状況を把握するのに必要な監視システムの構築に向けた設計費用や、サイバー攻撃への対処のための専門部隊を増員する費用なども盛り込んでいます。」 とのこと。「など」の部分に実際何が含まれるのか・・・。「防衛費増大は必要じゃない」けれど増やす、という日本語もアリなのか・・・? |